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現在、パワハラや贈答品受領等で大きな問題となっている斎藤元彦 兵庫県知事。
元県職員たちの死亡(自殺とみられる)や、県職員アンケートで約4割が「知事のパワハラを見聞きした」と回答している状況の中、2024年8月30日時点の「百条委員会」本人証人尋問においては、反省の様子を見せつつも、パワハラを否定(知事本人としてはパワハラと認識していないと回答)しています。
詳しいニュースはコチラ
パワハラ疑惑の兵庫県知事 「百条委員会」続報と「公益通報制度」不適切対応疑惑
※「百条委員会」や「公益通報制度」についても、簡単にご説明しています。
官公庁トップのパワハラ問題を考える時、思い出されるのが、泉房穂 元明石市長の件です。
当時、市議会議員や市職員たちへの暴言問題を起こし、二度辞職された経歴を持つ方です。(二度目は、政治家引退も表明されました)
今回、この二人の官公庁トップを比較・検証し、アンガーマネジメントについてもご説明したいと思います。
パワハラ比較検証 ① 泉房穂 元明石市長 のケース
泉 元明石市長の当時のニュースを見直してみました。
発言が部分的に切り取られてしまっているところもあるかと思いますが、それでもかなりひどい暴言ばかりです…
(国道拡幅工事の立ち退き調整の際に)
・何もしてないやろ、7年間。立ち退きさせてこい、お前らで。今日、火をつけてこい。
(土地買収調整の際に)
・お前ら、不動産会社から金もうてんのか。
(泉 元明石市長への問責決議の際に)
・問責なんて出しやがって、ふざけとるんか。
・お前ら議員なんか、(次の選挙で)みんな落としてやる。
立ち退き調整時の発言では、続けて「しんどい仕事やから尊い。相手がややこしいから美しいんですよ。一番しんどい仕事からせえよ。市民の安全の為やないか。言いたいのはそれや。その為にしんどい仕事するんや、役所は」とも発言していたと言われている為、単純な悪人タイプではないと思われます。
度重なる暴言の一方で、子育て支援などさまざまな施策を打ち出し、人口増加に繋げた行政手腕は高く評価されています。
辞職の際、市民からは惜しむ声や市長続投を希望する声が多く聞かれたそうです。
また、元市長自身もアンガーマネジメント関連の講座を受講したり、本を読み続けていたとの発言があった為、自らの性格について意識していたことは伺えます。
パワハラ比較検証 ② 斎藤元彦 兵庫県知事 のケース
現在、調査継続中の斎藤 兵庫県知事の件については、これまでのニュースは以下の通りです。
これまでのニュース まとめ
報道されているパワハラ言動の一部には、以下のようなものがあります。
・出張先の施設入り口20メートル手前で公用車を降ろされたという理由で(実は車が入ることができない事情があった)、職員を怒鳴り、その後一言も口をきかなかった。
・タイミング良くエレベーターがこないと、「エレベーターのボタンも押せないのか」と怒鳴った。
・ペンを机上に放り投げ、場の空気を凍りつかせた。
・会議の際、激高すると必ず机を叩いた。
・机の配置が気に入らない、ペンのインクが出にくい等でにらみ、叱責した。
・広報物に必ず知事の写真を載せないと怒った。
・職員がテレビ取材を受けると必ず怒った。
・視察の際の知事の荷物は、事前に職員に運ばせた。
まだまだあるようですが、これだけのパワハラ実例が上がっていても、知事は今のところ、「当時の認識としては合理的」とし、知事本人としてはパワハラと認識していない旨の発言を行っています。
一応、2024年6月末にハラスメント研修を受けたようですが、厚生労働省がインターネット上で公開している研修動画を自宅で視聴したとのことですので、どこまで本腰を入れて受講したかは若干、あやしいかも知れません…
パワハラ比較検証 ③ 元明石市長と兵庫県知事の違いは何か?
あくまで報道上の情報での判断となりますが、元明石市長も兵庫県知事も、パワハラ言動については、どちらも問題があったと思います。
その上で、ニュースから見えてくる両者の違いは、市民や県民からの信頼感 や、実績(功績)だと思います。
元明石市長は前述の通り、子育て支援などで明石市を盛り上げた功績があり、その為、辞職の際は市民から惜しまれる声が上がっていました。
しかし、兵庫県知事は2021年8月1日就任以降、まだ大きく目立った功績は取りざたされておらず、逆に、新型コロナウイルス対応などで後手に回ったと評価されているそうです。
それもあってか、「パワハラ疑惑」や「贈答品のおねだり疑惑」のニュースが流れる度、ネット上では県民から辞職を望む声が聞こえてきます。
また、元明石市長は本人の発言から、(身についていたかは別として)アンガーマネジメントを学び、改善に取り組もうとしていた姿勢が伺われます。
しかし、兵庫県知事は定例会見で県民から「知事はパワハラ研修を受けていないのではないか」という指摘を受けた後、インターネット上の研修動画を見たと言っています。
その場で学んだことを実践に活かそうとする段階までは、まだいっていない可能性があります。
このあたりが両者の大きな違いであり、今後の活動にも影響してくるように思われます。
(元明石市長は現在、政治系コメンテーター等として活躍中です)
元明石市長がアンガーマネジメントを活かしきれなかった理由
2022年10月12日の辞職会見の際、元明石市長は次のように述べていました。
「腹立たしいことがあると、トイレに立ち上がるとか6秒数えるとか、いろんな形で自分なりにはやってきたつもりではありました。今回につきましては、糸が切れたかのような形で完全にキレてしまった。市長としてはあるまじき行為です。今後は政治家・泉ではなくて、心ある政治家をつくっていく方向でしっかり頑張りたい。政治家としてのプレーヤーではなくて、応援団としてしっかりと今の政治、明石もその他も含めてしっかりと応援といいますか、政治を良くしていきたいというのは変わっていません」
過去の舌禍騒動の反省から、アンガーマネジメント関連の本を枕元に置き、「怒りをコントロールする訓練を自分なりにしていた」としながらも、市議会との長年の緊張関係から積もりに積もった怒りが心の奥底にあった為、「完全にキレてしまった」と語ったとのことです。
「トイレに立ち上がるとか6秒数えるとか」と話されているところから、確かにアンガーマネジメントを学んで、実践で使ってらっしゃったことがわかります。
それでもキレてしまい、大暴言を吐いてしまったのは、何が問題だったのでしょうか。
アンガーマネジメントはアメリカで生まれた心理トレーニングで、怒りの感情を後悔しないようにコントロールする為の技術です。
「怒らない」ことを目指すのではなく、「怒りが生じればその気持ちと向き合い、必要であれば適切な形で怒りを表現する」ことを目指します。
「精神論」ではなく、「技術」として身につけることを目標としています。
しかし、「理論」が頭でわかっていても実践することはなかなか難しく、「技術」として身につくまで繰り返し、訓練(実践の積み重ね)を行うことが大切です。
そして、その為にも、まずは自分自身と向き合い、考え方の癖を知る必要があります。
怒りの発火点は千差万別で、自分はどのようなことに怒りを感じやすいのか、そこがわからなければ、アンガーマネジメントの技術も活かしにくいからです。
元明石市長も実践を積み重ねる努力はされていたかと思いますが、もしかすると、自分自身が怒りを感じる傾向の知り方や、実践訓練を積み重ねる為の方法が明確にわからなかったのかも知れません。
その為、せっかくの取り組みも上手く活かせなかった可能性があります。
もし、あなたも自分自身の怒りの傾向や、下手に怒らない方法にご興味があれば、ぜひ、以下のページもあわせてご覧ください。
アンガーマネジメント情報
怒らない為の各メソッドを実行するにあたり、「具体的な実行方法」や「注意ポイント」、また、その為の「チェックシート」や「確認・検証フォーマット」などは、電子書籍により詳しく掲載しています。
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アンガーマネジメントは、自分自身に適した方法を身につけて、上手く活用し、必要であれば適切に怒りの気持ちを表現できるようになる為の、いわば「護身術」です。
わかりやすい「フォーマット」や「ツール」などを積極的に使いながら、アンガーマネジメントの「護身術」をどんどん身につけてゆきたいですね。
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