「怒り」のマネジメント

「怒り」のタイプ分け ~自分の「怒り」の傾向を知って予防・対策しよう~

竜 かずよ

「怒り」のタイプ分け

「怒り」や「イライラ」の感情に振りまわされない為に、まずは「怒り」が生まれる仕組みを知ることが重要です。

更に、自分自身の「怒り」の傾向がわかれば、「怒り」の感情に気づきやすくなり、パワハラ言動の予防・対策も取りやすくなります。

「怒り」を生む個人的な考え方の特性と、「怒り」が生じるシチュエーションの代表的なパターンを組み合わせると、大きく3つのタイプに分けることができます。

常にどれかひとつだけに当てはまる訳ではありませんが、自分自身が陥りやすい傾向(パターン)を探ってゆきましょう。

「怒り」を生む考え方の特性について

「怒り」の背景に「べき論」思考があることを、前章(「怒り」のメカニズム ~「怒り」が生まれる仕組みとは~)では触れました。

その背景を踏まえ、もう少し具体的に、「怒り」を生む考え方について見てゆきましょう。

「怒り」が生まれる仕組み

まずは、「怒り」が生まれる仕組みを復習しましょう。

感情を表現する場合、伝えたい「相手」がいて、達成したい「目的」がある、とされています。

「怒り」が生まれる時は、「こうしたい」「こうあって欲しい」という自分の目的(理想)を達成する為に、相手に感情を向ける、という流れとなります。

前述の通り、「一次感情」が生まれた後、ストレスが許容範囲を超えると「二次感情(怒り)」が生まれる流れとなるイメージです。

「怒り」が生まれる仕組み

4つの「怒りの目的」

感情を表現する場合、伝えたい「相手」がいて、達成したい「目的」がある、とお伝えしました。

そして、「怒り」が生まれる時は、その自分の目的(理想)を達成する為に、相手に感情を向ける、という流れとなります。

アドラー心理学の考え方によると、そんな「怒りの目的」には以下の4つがあるとされています。

他者を支配する

これは「相手を思い通りにしたい」という気持ちによるものです。

親→子供、上司→部下、先輩→後輩、といった「上下関係」で発揮される感情です。

主導権争いで優位に立つ

こちらも「相手を思い通りにしたい」という気持ちによるものですが、「他者を支配する」と異なる点は「上下関係」によるものではないことです。

夫婦や同僚、友達の間柄など、本来対等な関係性において意見の相違が生じた際、「主導権争い」を行う時に発揮される感情です。

自己の権利擁護

これは、自分の権利が侵されそうになった際、その「権利、立場、プライバシーなどを守りたい」という気持ちによるものです。

権利侵害に対して戦う」時に発揮される感情です。

正義感の発揮

これは、「自分が正しい」という強い信念を持っていることが前提となります。その信念にそぐわない場面に出会うと、「誤りを正したい」という気持ちが生じます。

正しい道に導く」という信念により発揮される感情です。

4つの「怒りの目的」一覧

4つの「怒りの目的」を一覧にすると、以下のようになります。

4つの「怒りの目的」

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パワハラ思考に陥りやすい「怒りの目的」タイプは?

前述の4つの「怒りの目的」のうち、パワハラを引き起こしやすいタイプは、以下の通り、①と④の思考パターンとなります。

パワハラ思考に陥りやすい「怒りの目的」タイプは?

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その理由は、パワハラ加害者となる可能性を最も秘めているマネージャーやリーダーの方たちに生じやすい思考パターンだからです。

この「怒り」を生む個人的な考え方(思考)の特性に加え、「怒り」が生じるシチュエーションの代表的なパターンとの組み合わせを、引き続き、見てゆきたいと思います。

「怒り」が生じるシチュエーションの代表的なパターンについて

「怒り」が生じるシチュエーションには、大きく分けると、以下のような場面が想定されます。

「怒り」が生じるシチュエーションの代表的なパターンについて

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シチュエーションに関して、もう少し細かく見てゆきましょう。

自分自身の持つ基準・ルール・常識等から外れる事態に遭遇した場合

その人自身が「絶対正義」「絶対的正解」を持っており、乱暴な言い方をすれば、その基準の(善悪など)客観的判断は関係しない状況。

その人自身の基準から外れる事態が勃発した場合、「怒り」が生じる為、その場にいる関係者(怒りの対象)のタイプは問いません。

自分自身から見て異質な人、相性の合わない人と遭遇した場合

その人自身から見て、相手(怒りの対象)に「何か違う」「何かイラッとさせられる」と感じさせられるような状況。

それは例えば、ジェネレーションギャップや性別、国籍等に関係する場合もあり、「相性が合う・合わない」の観点が強い状況です。

問題を起こされ、改善が難しく、コントロール不可能である場合

相手(怒りの対象)側に大きな問題・原因があり、「怒り」が誘発される状況。

しかし、いくら怒らざるを得ない状況であっても、パワハラとされない指導・対処方法を取ることが重要となります。

パワハラに陥りやすい「怒り」のタイプ分けについて

パワハラに陥りやすい「怒り」のタイプについて、個人的な考え方の特性(「怒りの目的」における思考の2パターン)と、シチュエーションの代表的な3パターンを組み合わせると、大きく3つのタイプに分けることができます。

あなた自身はどのタイプに近いのか、陥りやすい傾向(パターン)にあるのか、イメージしながら見てみてください。

パワハラに陥りやすい「怒り」のタイプ分けについて

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熱血アーミータイプ

「熱血アーミータイプ」は、「上下関係」や自分自身の「正義」を絶対視する傾向が強めのタイプとなります。

「熱血アーミータイプ」の人は、自分の常識が世界の常識ではない、ということを意識することが大切です。

自分自身の絶対視していることが、まわりの常識や考えと合っているのか、ロジカルに説明できるのか等、客観的に見ることを心がけましょう。

マイポリシー絶対信者タイプ

「マイポリシー絶対信者タイプ」は、現場で起きていることに対する正誤の判断よりも、自分自身の「信条」を優先する傾向が強めのタイプとなります。

「マイポリシー絶対信者タイプ」の人は、自分の価値観によって相手と相性が合う・合わないという判断を感覚的に行いがちな為、相手が仕事等で失敗もしていないのにイラッとしてしまう時は注意しましょう。

振りまわされて自爆タイプ

「振りまわされて自爆タイプ」は、相手側が問題児系でコントロール不可能な状況でも、何とかコントロールしようと奮闘し、最終的に(不用意に)キレてしまうことが多いタイプとなります。

「振りまわされて自爆タイプ」の人は、相手やまわりの状況が見えていないことが多い為、思い通りにならない状況が続くとストレスが積み重なり、最後は勝手に怒りを爆発させてしまいがちです。

その結果、残念にも、まわりから「キレやすい人」という不名誉なレッテルを貼られてしまうことも多いでしょう。

まとめ

『「怒り」のタイプ分け』について、まとめ情報は以下の通りです。

この記事のまとめ

  • 自分自身の「怒り」の傾向がわかれば、「怒り」の感情に気づきやすくなり、予防・対策も取りやすくなる。自己傾向の把握・理解が重要。
  • 感情を表現する場合、伝えたい「相手」がいて、達成したい「目的」がある。アドラー心理学の考え方によると、「怒りの目的」には4種類あるとされている。
  • パワハラに陥りやすい「怒り」のタイプについて、「怒りの目的」における思考の2パターンと、シチュエーションの代表的な3パターンを組み合わせて、大きく3つのタイプに分けることができる。
    • 熱血アーミータイプ
    • マイポリシー絶対信者タイプ
    • 振りまわされて自爆タイプ

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