「怒り」や「イライラ」を相手にぶつけることへの対策を考える前に、できる限り、怒る状況を作らないように予防措置を講じることが重要です。
ビジネス現場でマネージャーやリーダーの方たちが求められることを踏まえつつ、有効な予防策(考え方や取り組みなど)について、お伝えしたいと思います。
ビジネス現場でマネージャーが求められることについて
怒る状況を作らない為の予防策について触れる前に、ビジネス現場でマネージャーが求められる一般的な状況について、まずは見てゆきましょう。
これは「熱血アーミータイプ」の人も、「マイポリシー絶対信者タイプ」の人も、「振りまわされて自爆タイプ」の人も、ベースは同じです。
ビジネスの現場でマネージャーが求められることとは、与えられた(限られた)環境と人材を活かし、最大限の成果を上げることです。
スーパーマンのような部下ばかりを揃え、勝手に素晴らしい結果を出してくれれば、そもそも怒るような機会も少ないでしょうが、現実でそのような状況には、まず、なりません。
現実では、能力や得意分野、性格等にばらつきがあり、そんな部下たちを上手く取りまとめて、成果を上げることが、あなたに求められることとなります。
その為、あなたに必要とされる基本的な心積もりとしては、
- 客観的な評価基準を持ち、自分自身が持つ判断基準を常に見直す
- 相手の話はじっくりと聴き、また、自分の話はじっくりと話す
- 意識的に(適切に)励まし、ねぎらい、勇気づける
- 個々人と話す必要がある場合、できる限り第三者に同席してもらう(二人きりにならない)
などがあります。
また、お互いに感情的にならず、会社が求める成果を共に上げる為に、あなたがマネージャーとして取り組むべきこととしては、
- 特別なスキルがなくても成果を上げる為の仕組みや体制作り
- 先人たちの成功を参考にした(エッセンスをまとめた)マニュアル作り
- チームで情報をスムーズにシェアする為の仕組み作り
などがあります。
いろいろな部署と連携したり、情報収集したりできるポジションにいるのもマネージャーであり、効果的な仕組み作りはまさに、マネージャーの仕事と言えるでしょう。
怒る状況を作らない為の予防策について
怒る状況を作らない為の有効な予防策(考え方や取り組みなど)について、具体的にお伝えしたいと思います。
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予防策① 自分の「怒りの傾向」を理解する
「怒り」の背景に「べき論」思考があることは、前章(「怒り」が生まれる根底にあるもの)で触れました。
「こうあるべき」という、自分自身の持つ理想に対して、現実で齟齬が生じる場合、その「理想と現実の間にあるギャップ」に対して、いろいろとネガティブな感情が生じます。
その結果、「怒り」や「イライラ」の感情がわき上がってきてしまいます。
その為、怒る状況を作らないようにする為には、自分自身の「べき論」思考について、理解・把握しておくことが重要です。
あなたの「こうあるべき」という、自分自身の持つ理想自体を全面否定する必要はありません。
ただ、自分自身がどういったポイントでカッとしやすいのか、その傾向がわかっていれば、事前に手を打つことも可能ですし、イライラする場面に遭遇しても、対処しやすくなります。
その為には、自分自身がどのようなことに、どれくらい腹を立てやすいのか、ということを把握することが大切で、その為のレコードを取りためてゆくことが有効です。
イラッときたり、カッとしたら、その都度、「状況」と「怒りの強度」を端的に書き残し、ある程度のレコードがたまったら、気持ちが落ち着いている時に見直して、自分自身の「怒りの傾向」を把握してゆきましょう。
予防策② 自分の気持ち(好き嫌い)に振りまわされない
「怒り」のタイプ分けで、「マイポリシー絶対信者タイプ」に多い傾向にあるかと思いますが、自分自身の価値観によって、相手と相性が合う・合わない(=好き嫌い)というポイントから、「怒り」や「イライラ」の感情がわき上がってしまうこともあります。
相手が仕事等で結果的に失敗していないにも関わらず、イラッとしてしまう場合は、要注意です。
あなたは客観的に見て、公平に、公正に、相手を評価できていないことになります。まさに、パワハラです。
自分自身がどういったポイントで、相手に対してカッとしやすいのか、その傾向がわかっていれば、事前に手を打つことも可能ですし、イライラする場面に遭遇しても、対処しやすくなります。
その為には、相手のどのようなことに、どれくらい腹を立てやすいのか、ということを把握することが大切で、その為のレコードを取りためてゆくことが有効です。
イラッときたり、カッとしたら、その都度、「状況」と「怒りの強度」を端的に書き残し、ある程度のレコードがたまったら、気持ちが落ち着いている時に見直して、自分自身の「好き嫌いの傾向」を把握してゆきましょう。
当たり前だと思われるかも知れませんが、私たちはどうしても「自分軸(自分目線)」で物事を捉えがちです。
そして、他人を変えようとすることに囚われ過ぎると、いつまでも「怒り」の感情につきまとわれます。
自分自身の傾向を把握し、相手との関係性を見つめ直しながら、絶妙なバランスで組織運営してゆくことが、ビジネスの現場でマネージャーに求められることであり、成功の秘訣となるでしょう。
予防策③ 意識的に丁寧な言葉遣いや笑顔を表現する
昔から「病は気から」とも言われるように、心と身体には密接な関係があると考えられています。
笑うことで体内のナチュラルキラー細胞(NK細胞)が活性化し、その結果、免疫力が高まってさまざまな病気の予防や改善に役立つということも、医学界では証明されつつあると言われています。
また、心理学の世界では「表情フィードバック」という仮説があります。「感情→表情」が生まれるのではなく、「表情→感情」が生まれる、という仮説です。
これらの考え方をベースにすると、表情を柔らかくし、丁寧な言葉遣いで穏やかな振る舞いをすることは、自分自身の感情を整える上で有効と言えるでしょう。
時には毅然とした態度で注意・指導する必要があることもあるでしょうが、基本的な姿勢として、丁寧な言葉遣いや笑顔を意識することは有効と言えるでしょう。
予防策④ 「怒り」を感じさせやすい相手との付き合い方を見直す
『予防策② 自分の気持ち(好き嫌い)に振りまわされない』にて、自分自身の価値観によって、相手と相性が合う・合わない(=好き嫌い)というポイントから、「怒り」や「イライラ」の感情がわき上がってしまうことがあるとお伝えしました。
加えて、実際に問題を起こしがちな部下やチームメンバーもいるでしょうから、そこで「怒り」や「イライラ」の感情がわき上がることもあるかと思います。
ビジネスの現場でマネージャーが求められることとは、与えられた(限られた)環境と人材を活かし、最大限の成果を上げることです。
その為、どんな部下やチームメンバーであっても、良い関係性を築き、上手く取りまとめてゆければ一番ですが、人間ですから、どうしても苦手な相手もいるかと思います。
そのような場合、あからさまにならないレベルで、「怒り」を感じさせやすい相手との付き合い方を見直す選択肢もあるでしょう。
ただ、どのような選択肢を取るにしても、あからさまに避けるような態度を取ることは、組織運営を任される上で不適切であり、パワハラと言われる要因にもなるでしょう。
予防策⑤ 問題のある相手に対しては、冷静に現実的な対策を検討・準備する
もし、相手側に大きな問題・原因があり、組織運営に支障が出てしまうような場合は、どのようにすれば良いでしょうか。
ここで言う「問題」とは、社会一般的な問題(常に遅刻する・暴言を吐く等)に加え、現状の所属チームでの仕事にどうしても適性がない場合等も含めます。
まず、どのような場合であっても、マネージャーが感情的に相手に当たるようなことがあれば、そのマネージャーはパワハラ容疑者へ一直線でしょう。
しかし、ビジネス現場で組織を任されるマネージャーとしては、何とか改善しなければならないことも事実です。
このような場合、問題が起きている現状に対して、正しく、客観的なレコードを集めてください。
問題が起きる度に、感情は加えず、事実だけを書き留めてゆきましょう。その事実の裏付けとなるメールや証拠類も、できる限り残してゆきましょう。
第三者に冷静に状況を説明できるだけのレコードが集まれば、問題となっている本人と話し合いの場を設ける方法もありますし、上司や人事部にエスカレーションする方法もあります。
仕事の適性の問題であれば、適性のある部署へ異動する可能性もあるでしょう。それは結果的に、お互いにとってWin-Winとなることも多いかと思われます。
予防策⑥ 自分なりのストレス発散方法を見つける
日々のストレスが少しずつでもたまってゆくと、気持ちに余裕がなくなり、イライラする原因となります。
その為、コンスタントにストレスを発散することは、とても重要です。
ゆるやかに続けられる運動はストレス発散に効果的ですし、カラオケや掃除なども良いストレス発散方法となるでしょう。
基本的に、自分自身が興味のある、好きなことが一番のストレス発散方法となりますが、お酒やタバコ、また、SNS等の中毒性の高いものは注意が必要です。
自分自身で上手くコントロールしながら、気分転換ができるものを選び、上手にストレス発散してゆきましょう。
まとめ
「怒る状況を作らない予防策」について、まとめ情報は以下の通りです。
この記事のまとめ
- ビジネスの現場でマネージャーが求められることとは、与えられた(限られた)環境と人材を活かし、最大限の成果を上げること。
- 怒る状況を作らない為の有効な予防策の基本は、自らの思考傾向を知り、客観的レコードを積み重ね、現場状況を改善してゆくこと。